実数の対数 


<定義−1>a=x のとき,y を log(a,x) と書き、a を底、x を真数と言う。



<定理−1>alog(a,x)=x

<証明>定義−1 から,alog(a,x)=x



<定理−2>

    1) log(a,1)=0

    2) log(a,a)=1

<証明>1)を示す。

             alog(a,1)=1=a

            ∴   log(a,1)=0


    2)を示す。

             alog(a,a)=a=a

           ∴   log(a,a)=1



<定理−3>

    1) log(a,x)+log(a,y)=log(a,x×y)

    2) log(a,x)−log(a,x)=log(a,x÷y)

<証明>1)を示す。

                 alog(a,x)+log(a,y)=alog(a,x)×alog(a,y)

                                    =x×y

                                    =alog(a,x×y)

           ∴   log(a,x)+log(a,y)=log(a,x×y)

       2)を示す。

                 alog(a,x)−log(a,y)=alog(a,x)÷alog(a,y)

                                    =x÷y

                                    =alog(a,x÷y)

           ∴   log(a,x)−log(a,y)=log(a,x÷y)


<定理−4>xlog(a,y)=ylog(a,x)

<証明>       xlog(a,y)={alog(a,x)}log(a,y)

                        ={alog(a,y)}log(a,x)

                       =ylog(a,x)

           ∴  xlog(a,y)=ylog(a,x)


 <系−1>log(a,x)×log(b,y)=log(a,y)×log(b,x)  

 <証明>定理−4 から、 xlog(a,y)=ylog(a,x)

         log{b,xlog(a,y)}=log{b,ylog(a,x)}

         log(a,y)log{b,x}=log(a,x)log{b,y}

     ∴  log(a,x)×log(b,y)=log(a,y)×log(b,x)


この定理は高等学校の教科書に無いから,試験に使わないように。
<定理−5>     1) log(a,b)×log(b,c)=log(a,c)     2) log(a,b)×log(b,c)×log(c,d)×・・・×log(y,z)=log(a,z) <証明>1)を示す。       定理−4 の 系−1 から,         log(a,b)×log(b,c)=log(a,c)×log(b,b)                     =log(a,c)×1                     =log(a,c)       ∴ log(a,b)×log(b,c)=log(a,c)     2)を示す。       定理−4 の 系−1 から,         log(a,b)×log(b,c)×log(c,d)×・・・×log(y,z)            =log(a,z)×log(b,b)×log(c,c)×・・・×log(y,y)            =log(a,z)×1×1×・・・×1            =log(a,z) ∴ log(a,b)×log(b,c)×・・・×log(y,z)=log(a,z)
ベクトルの AB+BC+CD+・・・+YZ=AZ と形が似ていますねぇ。
 <系−1>     1) log(a,b)=1/log(b,a)     2) log(a,b)=log(c,b)/log(c,a) <証明>1)を示す。       定理−5 から,        log(a,b)×log(b,a)=1       ∴        log(a,b)=1/log(b,a)     2)を示す。       定理−5、1)から, log(a,b)×log(b,c)=log(a,c) log(a,b)×{1/log(c,b)}=1/log(c,a)  log(a,b)=log(c,b)/log(c,a) <定理−6>log(a,x)=(n/m)×log(a,x) <証明> (a)log(a,x)=x       {alog(a,x)}=xlog(a,x)=xn/m   ={alog(a,x)}n/m   =a(n/m)×log(a,x) ∴ log(a,x)=(n/m)×log(a,x) <定理−7> 1<a のとき,次のことが成立する。     1) 1≦x ⇔ 0≦log(a,x)     2) x≦1 ⇔ log(a,x)≦0 <証明>1)を示す。       イ)1≦x ⇒ 0≦log(a,x) を示す。         a=1≦x=alog(a,x) ∴ 0≦log(a,x)       ロ)0≦log(a,x) ⇒ 1≦x を示す。 1=a≦alog(a,x)=x ∴ 1≦x     2)を示す。       イ) x≦1 ⇒ log(a,x)≦0 を示す。 alog(a,x)=x≦1=a ∴ log(a,x)≦0       ロ) log(a,x)≦0 ⇒ x≦1 を示す。 x=alog(a,x)≦a=1 ∴ x≦1  <系−1> 1<a のとき,x≦x ⇔ log(a,x)≦log(a,x)  <証明>イ)x≦x ⇒ log(a,x)≦log(a,x) を示す。 条件から,x≦x 1≦x÷x 0≦log(a,x÷x) 0≦log(a,x)−log(a,x) log(a,x)≦log(a,x)      ロ)log(a,x)≦log(a,x) ⇒ x≦x を示す。 条件から,log(a,x)≦log(a,x)             log(a,x)−log(a,x)≦0                  log(a,x÷x)≦log(a,1)                      x÷x≦1                         x≦x <定理−8> 0<a<1 のとき,次のことが成立する。     1) 1≦x ⇔ log(a,x)≦0     2) x≦1 ⇔ 0≦log(a,x) <証明> 省略  <系−1>0<a<1 のとき,x≦x ⇔ log(a,x)≦log(a,x)  <証明> 省略
注意:この定理は出来るだけ使うのを避けるように。
「y=log(a,x) は y=a の逆関数である」, 「 a を log(a,x) 乗したら x になる」最初の一歩の違いは大変な違いで,証明の発想が違ってきます。公立高校 の教科書と比較しなさい。 木ッ端ぱ役人が作った学習指導要領なんか、とても見てい られませんねぇ・・・!!!                         

訪 問 者 の 質 問 過去問に以下のような問題がありました。いろいろな参考書を調べたのです が、解答がありません。考え方、できれば解法も教えていただけたらと思いま す。よろしくお願いします。                       このサイトに log(xy)=log(x)+log(y) の証明ありました。                        ∫1/tdt=log x を対数の定義と考えた場合に、                        この式を証明するにはどうすれば良いのでしょうか?
       <証明>お尋ねの定義から、           xy             log(xy)=∫(1/t)dt                       xy                  =∫(1/t)dt+∫(1/t)dt                    xu=t とおくと、xdu=dt                         log(xy)=∫(1/t)dt+∫(1/xu)xdu                                      =∫(1/t)dt+∫(1/u)du                              =log(x)+log(y)           ∴  log(xy)=log(x)+log(y)
訪 問 者 の 質 問  明日のテストで分からないことがあります。どうして log10 が 1 に なるか教えて下さい。願いします。                  お 答 え 先ず,定義−1を見てください。 定義−1 ay=x のとき,y を log(a)x と書く。 次に,下の計算がお分かりですか? 10=10 バカにしてる訳ではありませんから,腹を立てないように。 上の2つのことより,1 は log を使ってどう表せますか・・・? log(10)10 でしょう。従って,log(10)10=1 です。 毎晩メールを見る訳にはいきません。 明日のテストに必要な質問をされても間に合わないことの方が多いですよ。 訪 問 者 の 質 問 log で底が 2の6(だったと思う)が無理数であることを示せと言うもの 根号系なら背理法で行けますが log では・・・? お 答 え 質問の意味が分かりませんが,次のように勝手に解釈しました。 log(2)6が無理数であることを示せ。 [証明] log(2)6 が有理数とすると,次式が成立する自然数が存在する。 log(2)6=m/n 2m/n=6 2m/n=2×3 2=2×3m−n=3 上の式が成立する m,n は存在しないから,log(2)6 が有理数でない。 ∴ 無理数である。 訪 問 者 の 質 問 x が無理数の時,2 も無理数である。 お 答 え 命題は偽です。 [反例] x=log(2)6 とすると,x は無理数 (前の質問より) 2=2log(2)6=6 (6は有理数) 訪 問 者 の 激 励 今 井 塾 様 先生のホームページは部分的には解らないところもありますが,全体的に 大変に良く分かります。誤字等細かいところを余り気に掛けず,頑張ってど んどん先に進めてください。期待しています。誤は私達にお任せ下さい。 
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