パソコンを我々庶民が使える今日では、ちょっと想像出来ないのであるが,ケプラ
ー,ガリレオ,ニュートンの時代から,つい最近(10年ほど前)まで数値計算に大変
な時間と労力が費やされたのである。色々工夫されてきた計算法にの中の一つに「指
数と対数」がある。これは相当に古い話であるが,今日の数学にも勿論活きている。
数学とは古いものの上に新しいものを積み重ねて,古いものが決して無くなることは
ない。そんなものらしい。
数学が自然科学に本格的に使われるようになて,次のような計算に直面した。
2340000000×0.000745÷20000
上の計算を小学生がやるような計算では大変であったから,誰かが次のような計算
法を工夫したのです。
2340000000×0.000745÷20000
=2.34×109×(7.45/104)÷(2.0×104)
=(2.34×7.45÷2.0)×101
10n の計算は掛け算や割り算でなく,足し算か引き算となり,これは相当な改
善である。勿論現在でも物理や化学の分野で使われています。
これに調子ついたかどうか知りませんが,「2.34×7.45÷2.0 も同じよう
な計算が出来ないだろうか・・・?」と考えたのです。
「何を馬鹿なことを考えるか,気でも狂ったらしい、とんでもない話である」 と考
えるのは凡人の常識であり,そこを乗り越えられるのが天才であって,我々凡人には
決して手の届かない分野なのでしょう。数学は天才の誕生を待つしか方法がない部分
も間違いなくあります。
分かりやすくするのに,3×5=15 の計算を例に取って考えよう。
3×5=100.・・・×100.・・・
=100.・・・+0.・・・
=101.・・・
=15
こんな計算があるかも知れない。「答えの分かっているものを何をやり出す」と言
わないように。 これを眺めていると,小数点が附いた数が指数になるらしいことに
感づくであろう。「指数が有理数にもなる・・・?」 これはちょっと早とちりであ
る。なぜならば,この時点では未だ有理数の指数の定義が無いのである。 有りもし
ないものを考えるのは妄想で「バカ」としか言いようがない。
それでは有理数の指数を定義しよう。 この時頭に残して置くべきことは,掛け算
が指数の足し算になること。 割り算が指数の引き算になること。これを忘れること
は指数を考える理由を失うことを意味するからです。
次の例で有理数の指数を考えよう。
101=10
102=100
103=1000
104=10000
上の式を眺めて,そして頭に残して置くべきことを考えて 101.5=????
101.5×101.5=103=1000
(101.5)2=1000
ここで 101.5 を x に置き換えてると (x)2=1000 となる。
このことから「101.5 は方程式 x2=1000 の解らしい」と考えるのは間
違いで,「こうすれば良さそう」と考えるべきです。なぜなら,今定義をどうすべ
きかを考えているのです。
上に書いたことを一般化して「am/n は方程式 xn=am の解である」としよ
う。本当にこれで良いのであろうか? つまり,掛け算が指数の足し算に,割り算が
指数の引き算になっているだろうか? これについて,このブロックの「整数 の 指
数」と名付けたページに確かめられてあります。
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