<例題>x2+y2=1 のとき、x>0、y>0 の範囲で、z=x+y で表される z の最大
値を求めよ。
<解答>条件より、z=x+y
dz=d(x+y)
=dx+dy
z が極値のとき dz=0 であるから、
0=dx+dy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
条件より、1=x2+y2
d(1)=d(x2+y2 )
0=d(x2)+d(y2)
=2xdx+2ydy
=xdx+ydy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
(1)×y−(2)
0=ydx−xdx
=y−x
上の式より、y=x のとき z が極値になり、
このとき、x=y=2−1/2,z=2−1/2+2−1/2=21/2
上の z の値が最大値であることを示す。
(21/2)2 −z2
=2−z2
=2−(x+y)2
=2−x2−2xy−y2
=1−2xy
=x2+y2−2xy
=(x−y)2≧0
上の式より、21/2 が z の最大値である。(x=y=2−1/2)
偏微分を使っていないようですが、解答の裏側に・・・???
そんなことよりも、dx、dy とは何か・・・?
「それは微小な変化量で御座います」これでは、上の解答が浮かばれない。
<解答>条件より、x2+y2=1
2x+2y(dy/dx)=0
x+y(dy/dx)=0
dy/dx=−x/y・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
条件より、z=x+y
dz/dx=1+dy/dx・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
(1)、(2)より、
dz/dx=1+(−x/y)
=(y−x)/y
イ)y>x のとき、dz/dx>0 z は単調増加
ロ)y=x のとき、dz/dx=0 z は極値
ハ)y<x のとき、dz/dx<0 z は単調減少
イ)、ロ)、ハ)より、y=x のとき、z は極大、かつ、 最大となる。
このとき、x2+y2=1、z=x+y、x>0、y>0 から、
x=y=2−1/2,z=21/2
高校数学の範囲で書けば、こうなります。この解答を元にして、初め
解答を作った。これが真相で、ラグランジの未定係数法とは無縁です。
<例題>z=x2+2xy+2y2−6y+1 について、z の最小値を求めよ。
<解答>z=x2+2xy+2y2−6y+1 から、
dz=2xdx+2(ydx+xdy)+4ydy−6dy
=(2x+2y)dx+(2x+4y−6)dy
z が極値となるとき、dz=0
0=(2x+2y)dx+(2x+4y−6)dy
=(x+y)dx+(x+2y−3)dy
上の式より、z が極値となる x、y には x+y=x+2y−3=0 が成立する。
x=−3、y=3
このとき、z=(−3)2+2(−3)(3)+2(3)2−6(3)+1
=9−18+18−18+1
=−8
z−(−8)=x2+2xy+2y2−6y+1−(−8)
=x2+2xy+2y2−6y+9
=x2+2xy+y2+y2−6y+9
=(x+y)2+(y−3)2≧0
z−(−8)≧0
上の式より、−8 は極値であり、かつ、最小値である。
(答)最小値 −8(x=−3,y=3)
「この解答に偏微分を使った」と言えるのかどうか、問題がないことはありませ
んが、実質的に使っています。少なくとも解答を書いた当人はそう考えています。
z=x2+2xy+2y2−6y+1 から、
dz=d(x2+2xy+2y2−6y+1)
=d(x2)+d(2xy)+d(2y2)−d(6y)+d(1)
=d(x2)+2d(xy)+2d(y2)−6d(y)+0
=2xdx+2(dxy+xdy)+4ydy−6dy
=(2x+2y)dx+(2x+4y−6)dy
dz=(∂z/dx)dx+(∂z/dy)dy
=(2x+2y)dx+(2x+4y−6)dy
dz の2つの計算法を比較してください。
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