例 題 



線形微分方程式
<例題>dy+f(x)ydx+g(x)dx=0 を解け。但し、∫f(x)dx=F(x) とする。 <解答>dy+f(x)ydx+g(x)dx=0 から, dy/y+f(x)dx+{g(x)/y}dx=0     du=dy/y+f(x)dx とおくと,        u=log(y)+F(x),y=exp{u−F(x)},exp(u)=yexp{F(x)}     上の式を問題の方程式に代入,    du+{g(x)/y}dx=0    du+g(x)exp{F(x)−u}dx=0 exp(u)du+exp{F(x)}g(x)dx=0     dv=exp(u)du+exp{F(x)}g(x)dx とおくと,      v=exp(u)+∫exp{F(x)}g(x)dx dv=0 v=C     exp(u)+∫exp{F(x)}g(x)dx=C yexp{F(x)}+∫exp{F(x)}g(x)dx=C y=exp{−F(x)}{C−∫exp{F(x)}g(x)dx}
この問題の解法にはベルヌイ,ラグランジュが考えた定数変化法があます。あの得 体の知れない解法はちょっと受け取れません。私は知りませんが、高級な数学の分野 へ進めば、その理由付けはあるそうです・・・??? まぁ、それはそこへ行った時 の話しであって、そんな大袈裟なことを持ち出さす必要はありません。上の解答のよ うに変換を使って軽く済ませましょう。                    
<例題>dy/dx−y/x=xe を解け。 <解答>dy/dx−y/x=xe から, (y/dx){dy/y−(1/x)dx}=xe y{dy/y−(1/x)dx}=xedx     du=dy/y−(1/x)dx とおくと,     u=log(y)−log(x),e=y/x,y=xeu     上の式より, ydu=xedx xedu=xedx edu=edx edu−edx=0     dv=edu−edx とおくと,v=e−e     上の式から,dv=0 v=C e−e=C y/x−e=C              y=xexp(x)+Cx
 線形微分方程式は何か怪しげな解法が数学の本にありますが、ここでは変換で解 くことにしました。                            
<別解>u=y/x とおくと、xu=y,dx×u+x×du=dy      この式を元の微分方程式に代入し、 (dx×u+x×du)/dx−(xu)/x=xexp(x)             dx×u+x×du−udx=xexp(x)dx                        du=exp(x)dx                         u=exp(x)+C                        y/x=exp(x)+C                          y=xexp(x)+Cx <例題>dx/dt+x=t,  t=1 のとき、x=4/3 <解答>dx/dt+x=t から、   dx+xdt=tdt   x(dx/x+dt)=tdt       dx/x+dt=du とおくと、log(x)+t=u,x=eu−t     上の式を x(dx/x+dt)=tdt に代入、        eu−tdu=tdt          edu=tdt            e=∫tdt              =t−∫2tedt              =t−2∫tedt              =t−2{te−∫edt}              =t−2te+2∫edt            xe=t−2te+2e+C     初期条件より、t=1 のとき、x=4/3           (4/3)e=e−2e+2e+C               C=1/3      ∴  xe=t−2te+2e+1/3             x=t−2t+2+(1/3)e−t・・・・・・・・(答) <例題>dy/dx−2xy=x を解け。 <解答>dy/dx−2xy=x から、          dy−2xydx=xdx y(dy/y−2xdx)=xdx     dy/y−2x=du とおくと、     logy−x=u、logy=x+u、y=exp(x)×exp(u) y(dy/y−2xdx)=xdx から、         ydu=xdx         exp(x)×exp(u)du=xdx             exp(u)du=exp(−x)×xdx             exp(u)=∫exp(−x)×xdx+C        exp(logy−x)=∫exp(−x)×xdx+C        exp(logy)÷exp(x)=∫exp(−x)×xdx+C        y=exp(x){∫xexp(−x)dx+C} <別解>y+1/2=u とおくと、y=u−1/2,dy=du     上の式を問題の方程式に代入、         du/dx−2x(u−1/2)=x           du/dx−2xu+x=x             du/dx−2xu=0             du/u−2xdx=0             log(u)−x=C               log(y+1/2)=x+C               y+1/2=exp(x+C)                   y=exp(x+C)−1/2 <例題>3ydy=(y+x)dx を解け。 <解答>3ydy=(y+x)dx より、         3ydy−xdx=ydx     du=3ydy−xdx とおくと、u=y−x/2     上の式を問題の方程式に代入、 du=(u+x/2)dx du−udx=(x/2)dx     z=log(u)−x とおくと、u=exp(z+x),du=udz+udx udz+udx−udx=(x/2)dx                udz=(x/2)dx            exp(z+x)dz=(x/2)dx             2exp(z)dz=xexp(−x)dx               2exp(z)=∫xexp(−x)dx+C 以下省略

訪 問 者 か ら の 問 題  微分方程式 dy/dx=k(x)−ay (t=−0.27) というのがありました。 一般解は y=exp(−ax)∫k(x)exp(ax)dx というところまでは解けたので すが,t が負の数で,整数ではないので,積分の項がどうしても解くことが出来ませ ん。何か解く方法があれば教えて下さい。元の微分方程式についても,他に解く方法 があれば教えて下さい。                            お 答 え  ∫xexp(x)dx の積分の問題をお尋ねかと思います。私の持っている本の中に ∫x-1exp(x)dx は初等関数では表されないと出ていました。お尋ねの積分はそれ と同じかどうか分かりませんが,私には出来ませんでした。容易に積分が求まらない 時には奥の手があります。exp(x) を級数展開をすれば求まります。        exp(x)=1+x/1!+x/2!+x/3!+x/4!+・・・ 上の展開式から, ∫xexp(x)dx =∫x+xt+1/1!+xt+2/2!+xt+3/3!+xt+4/4!+・・・ =C+xt+1/(t+1)+xt+2/1!(t+2)+xt+3/2!(t+3)+・・・ 「級数展開によるこの解法しか無い」とは言い切れませんが。 現在の私にはこれしか出来ません。 元の微分方程式についても他に解く方法があれば教えて下さい。 線形微分方程式であるから,定数変化法を使われたことと思われます。 これを変換で解いてみましょう。
   logy+ax=u とおくと,y=exp(u−ax) du/dx=(1/y)dy/dx+a du=(1/y)dy+adx         ydu=dy+aydx ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)    dy/dx=k(x)−ay から,dy=k(x)dx−aydx         dy+aydx=k(x)dx ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)     (1),(2) から, ydu=k(x)dx exp(u−ax)du=k(x)dx exp(u)×exp(−ax)du=k(x)dx exp(u)du=exp(ax)k(x)dx exp(u)=∫exp(ax)k(x)dx yexp(ax)=∫exp(ax)k(x)dx y=exp(−ax)∫exp(ax)k(x)dx
 数学の先生に叱られそうな解答で,試験にはとても使えないでしょう。これは今井 塾の数学です。こんな解答が出来るように微積分が再構築してあります。それが成功 しているのかどうか分かりませんが,この方法に誤りがないと確信しています。もし 駄目なら再構築した微積分の方を修正しなくてはならないと考えています。      なお logy+ax=u とおけば良いと気づいたのは 定数変化法の解答がヒント です。つまり,定数変化法の解答を変換による解答に書き換えたものです。このレベ ルの問題になると信頼出来るお答えが出来ませんから,注意してください。    
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