<例題>△ABC の外心を O,垂心を H,2点 O,H の中点を N とし,辺 AB,BC,
CA の中点を D,E,F とし, 頂点 A,B,C から対辺に下ろした垂線の足を P
,Q,R 、HA,HB,HC の中点を K,L,M とするとき,9点 D,E,F,P
,Q,R,K,L,M は点 N から等距離にある。即ち同一円周上にあることを示せ。
(9 点 円)
<解答>△ABC の外接円の半径を r とする。
D,E,F が N から(r/2)の距離にあることを示す。
ND=NO+OD
=(1/2)・HO+(1/2)・(OA+OB)
2・ND=HO+OA+OB
=AO+BO+CO+OA+OB
=CO
(2・ND)S=(CO)S
4(ND)S=r2
(ND)S=r2/4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
同様に, (NE)S=r2/4
(NF)S=r2/4
K,L,M が N から(r/2)の距離にあることを示す。
NK=NO+OK
=(1/2)・HO+(1/2)・(OH+OA)
2・NK=HO+OH+OA
=OA
(2・NK)S=(OA)S
4(NK)S=r2
(NK)S=r2/4
同様に, (NL)S=r2/4
(NM)S=r2/4
P,Q,R が N から(r/2)の距離にあることを示す。
2点 R、D の中心を T とすると、RD⊥TN、RT=TD
(NR)S=(NT+TR)S
=(NT)S+2(NT・TR)+(TR)S
=(NT)S+2(NT・TD)+(TD)S ∵ NT・TR=NT・TD=0
=(NT+TD)S
=(ND)S=r2/4
(NR)S=r2/4
同様に, (NP)S=r2/4
(NQ)S=r2/4
以上より,9点 D,E,F,P,Q,R,K,L,M は N から等距離にあるから、
同一円周上にある。
参 考
OR=(1/2)・OH−OA×OB/(2・OC) より、
NR=NO+OR
=(1/2)・HO+(1/2)・OH−OA×OB/(2・OC)
=−OA×OB/(2・OC)
(NR)S=(−OA×OB/(2・OC)S
=(r×r/2r)2
=r2/4
「この問題は出来なかろう・・・ 」そんな意図が見え見えの訪問者からの質問で
した。このような質問は無視することにしていますが,質問の中身だけは取り上る
に値する,との考えで解答を掲載することにしました。私のホームページは難問を
出し合って,力を競う場所ではありません。そんな人の質問には答えません。学び
たい人の訪問や質問を歓迎しますが,道場破りのような訪問者は歓迎出来ません。
私にそんな方に立ち向かう力が無いからです。無駄な電話代を使うことにしかなり
ませんよ。
この問題をユークリットの幾何学で解答しようと思えば、質問者の予想通り,私
には出来ません。けれども,ベクトルを持っている者の道場はとても破れないでし
ょう。恐らく・・・、軽くあしらわれて・・・、馬鹿にされて・・・、無視される
だけです。複べクトルは大変に優れた幾何学の道具であって,これはデカルトの解
析幾何学を遥かに超えるでしょう。
ユークリットの幾何学で解答をお求めでしたら,下の文献を調べてください。日
本の数学者、沢山勇三郎(1860-1936)が、 これに24通りの証明を与えた。それ本
当か知ら? まぁ、仮に本当だとしても、上記の証明は無いハズです・・・???
(幾何学辞典 聖文社 笹部貞市 より)
この9点問題は高校背向けの教科書や参考書には登場しません。それは当然であ
って、高等学校で教えるのは難しい。それは、ユークリット幾何学で解くのを前提
としているから難しいのであって、複べクトルで解くなら、何も難しくなくて、寧
ろ、易しい問題の方に入ります。
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