<例題>中心が O の外円の中に2本の弦と5つの円、東円、西円、南円、北円、中円 が図のよ
うに接している。 このとき「東円の半径×西円の半径=南円の半径×北円の半径」が成
立することを示せ。但し、東円の半径≠西円の半径、南円の半径≠北円の半径とする。
(解答者に方針を示唆するのに、元の問題を証明問題に改題)
<解答>東西の円の中心を A、B,南北の円の中心を C、E,半径 a,b.c、e,円 D の
半径を d とする。
条件より、(CE)S=(CO+OE)S
=(CO)S+2(CO・OE)+(OE)S
(c+2d+e)2=(r−c)2+2(CO・OE)+(r−e)2
2(CO・OE)=(c+2d+e)2−(r−c)2−(r−e)2
=4d2+4cd+2ce+4de+2rc+2re−2r2
CO・OE=2d2+2cd+ce+2de+rc+re−r2・・・・(1)
条件より、(CD)S=(CF+FG+GD)S
=(CF)S+(FG)S+(GD)S
+2(CF・FG)+2(CF・GD)+2(FG・GD)
=(CF)S+(FG)S+(GD)S+2(0)+2(CF・GD)+2(0)
=(CF)S+(FG)S+(GD)S+2(CF・GD)
(c+d)2=(c)2+(FG)S+(d)2+2(−cd)
(FG)S=(c+d)2−c2−dS+2cd
=c2+2cd+d2−c2−d2+2cd
=4cd
|FG|=2(cd)1/2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
同様にして、 |GI|=2(de)1/2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
条件より、FC//GD//IE
|CD|;|DE|=|FG|;|GI|
c+d:d+e=2(cd)1/2:2(de)1/2
=(c)1/2:(e)1/2
(c+d)(e)1/2=(d+e)(c)1/2
(c+d)2(e)=(d+e)2(c)
(c2+2cd+d2)(e)=(d2+2de+e2)(c)
(c2+d2)(e)=(d2+e2)(c)
d2(e−c)=ce(e−c)
d2=ce・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
∵ (e−c)≠0
条件より、(CO)S=(CF+FH+HO)S
=(CF)S+(FH)S+(HO)S
+2(CF・FH)+2(CF・HO)+2(FH・HO)
=(CF)S+(FH)S+(HO)S
+2(0)+2(CF・HO)+2(0)
=(CF)S+(FH)S+(HO)S+2(CF・HO)
(r−c)2=(c)2+(FH)S+(r−2a)2−2c(r−2a)
(FH)S=(r−c)2−c2−(r−2a)S+2c(r−2a)
=4(ar−a2−ac)
|FH|=2(ar−a2−ac)1/2
同様にして、|HI|=2(ar−a2−ae)1/2
|MK|=2(br−b2−bc)1/2
|KJ|=2(br−b2−be)1/2
α=ar−a2、β=br−b2 とおくと、
bα−aβ=bar−abr−ba2+ab2=−ab(a−b)・・・・(5)
|FH|=2(α−ac)1/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
|HI|=2(α−ae)1/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
|MK|=2(β−bc)1/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
|KJ|=2(β−be)1/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
(1)より、2d2+2cd+ce+2de+rc+re−r2
=CO・OE
3ce+2cd+2de+rc+re−r2
=CO・OE ∵ (4)より、d2=ce
=(CF+FH+HO)・(OH+HI+IE)
=CF・(OH+HI+IE)
+FH・(OH+HI+IE)
+HO・(OH+HI+IE)
=CF・(OH+IE)+FH・HI+HO・(OH+IE)
=CF・OH+CF・IE+FH・HI+HO・OH+HO・IE
=c(r−2a)−ce
+2(α−ac)1/2×2(α−ae)1/2
−(r−2a)2+(r−2a)e
=c(r−2a)−ce
+2(α−ac)1/2×2(α−ae)1/2
−(r2−4ra+4a2)+(r−2a)e
4ce+2cd+2dec+2ac+2ae−(4ra−4a2)
=2(α−ac)1/2×2(α−ae)1/2
2ce+cd+de+ac+ae−2(ra−a2)
=2(α−ac)1/2(α−ae)1/2
2ce+cd+de+ac+ae−2α
=2(α−ac)1/2(α−ae)1/2
(2ce+cd+de+ac+ae−2α)2
={2(α−ac)1/2(α−ae)1/2}2
(2ce+cd+de+ac+ae)2−4α(2ce+cd+de+ac+ae)+4α2
=4(α−ac)(α−ae)
=4α2−4(ac+ae)α+4acae
{(2ce+cd+de)+a(c+e)}2
−4α(2ce+cd+de)=4acae・・・(10)
(1)より、2d2+2cd+ce+2de+rc+re−r2
=CO・OE
3ce+2cd+2de+rc+re−r2
=CO・OE ∵ (4)より、d2=ce
=(CM+MK+KO)・(OK+KJ+JE)
以下(10)と同様にして、 注意:(10)の a を b、α を β 交換する。
{(2ce+cd+de)+b(c+e)}2
−4β(2ce+cd+de)=4bcbe・・・・(11)
(10)×b−(11)×a 注意:r を消去しています。
b{(2ce+cd+de)+a(c+e)}2
−a{(2ce+cd+de)+b(c+e)}2
−4(bα−aβ)(2ce+cd+de)
=4abce(a−b)
注 意
これで a,b,c,d,e の関係式が求まった。この
後は因数分解をして、不要な因数を剥がしていけば、最後
に砂金のような答えが残ります。
−(a−b)(2ce+cd+de)2+ab(a−b)(c+e)2}
−4{−ab(a−b)}(2ce+cd+de)
=4abce(a−b)
−(2ce+cd+de)2+ab(c+e)2
+4ab(2ce+cd+de)
=4abce ∵ (a−b)≠0
ab(c+e)2+4ab(2ce+cd+de)−4abce
=(2ce+cd+de)2
ab{(c+e)2+4(ce+cd+de)}
=(2d2+cd+de)2 ∵ (4)より、d2=ce
=d2(2d+c+e)2
=d2{4d2+4d(c+e)+(c+e)2}
=ce{4ce+4d(c+e)+(c+e)2}
=ce{(c+e)2+4(ce+cd+de)}
ab=ce ∵ (c+e)2+4(ce+cd+de)≠0
上の式より、東円の半径×西円の半径=南円の半径×北円の半径
この問題を複ベクトル無しで解けたのか知ら・・・? 和算家の頭脳を想像出
来ませんねぇ。まぁ・・・、複ベクトルを使っても大変は大変ですが、上級問題
にする程のことはなく、計算が厄介なだけでしょう。最後のところの計算を切り
抜けるには、ベテランの狡さを必要とします。
この解答を一関市博物館様に送っても,多分、正解にしてもらえません。だか
らと言って、ユ−クリット幾何の解答に書き変へるのは、とてもやっていられま
せん。無理をして試みれば、それは上級問題になるでかも・・・。まぁ、どの程
度の問題を上級になされているのかは定かではありません。
江戸のカミソリ頭脳が、それぞれの流派の存亡を掛けて、難問を考えたのでし
ょう。まぁ・・・、何と・・・、それがこの程度のものだったのか。こんな嫌ら
しい問題は数学とは言えません。それでも問題として登場すれば、複ベクトルを
使って、軽く一蹴りしてやりましょう。
一関市博物館は相当な秀才を集めてHPが運営されておられるようです。
天才を育む揺り籠となり得て、実体は、ちょっとした大学を凌ぐかも知れませ
ん。こんな団体が全国のあちこちに群雄割拠して欲しいねぇ・・・・! さすれ
ば、世界に羽ばたく数学者が日本に誕生するかも知れません。江戸の昔に、これ
があったんであるから、現在の日本に期待しても良いでしょう。
大学がこの役割を果たすべきなのでしょうが・・・、大学はねぇ・・・、大学
は余りにも偉くなり過ぎたので・・・、月満つれば・・・。これは万物の抗し切
れない定め、もう期待は出来ないのかも・・・??? せいぜいが、欧米の横文
字で書かれた文献を輸入するくらいのもの、まぁ、これでも、我々庶民が世界を
覗き見る窓口として、そこそこの役割が無いこともありません。
落ちさんの大学教授連中は、ユ−クリットに洗脳されて?
この批判はどうでしょうかねぇ・・・? 最近は「産学協同」と言って、大学
が世の中の現場に出向かれつつあるようで、その実体は変わりつつあります。ま
ぁ、文句を並べて見ても・・・、何しろ、教授連中は、入学試験、更には、学内
の試験によって選び抜かれた秀才ですから、頑張って、底辺、あるいは、基盤を
支えてもらわねば日本の将来はありません。それこそが秀才の役割であって、天
才を育む揺り籠になってもらわなくてはなりません・・・!!!
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