<例題>直角三角形ABC の中に3つの円が図のようにあり、大、中、小 の円の半径は 18寸、
16寸、9寸 であるとき、|AB| の値を求めよ。
<解答>小、大の円の中心を P,Q とし、P,Q から辺 AB に垂線を降ろし、その足を
HI とする。
△PAH∽△QAI ∵ ∠PAH=∠QAI、∠PHA=∠QIA
AH:AI=PH:QI=9寸:18寸=1:2
2・AH=AI
2・AH=AH+HI
AH=HI
同様にして、 AL=LK
△PAH≡△PAL
∵ ∠PHA=∠LPA=90度、|PH|=|PL|、PA は共通。
|AH|=|AK|
同様にして、|BI|=|BJ|=18寸
|CJ|=|CK|
上の式より、 |AH|=|HI|=|AK|=|LK|=a,|CJ|=|CK|=b とおく。
s(△ABC)=(1/2)(BA*BC)=(1/2)|BA||BC|sin(π/2)
=(1/2)(2a+18寸)(b+18寸)×1
=(1/2)(2ab+36a寸+18b寸+324寸2)・・・・(1)
s(△ABC)=(1/2)(IQ*AB)
+(1/2)(JQ*BC)
+(1/2)(KQ*CA)
=(1/2)|IQ||AB|sin(π/2)
+(1/2)|JQ||BC|sin(π/2)
+(1/2)|KQ||CA|sin(π/2)
=(1/2)×18寸×(2a+18寸)×1
+(1/2)×18寸×(b+18寸)×1
+(1/2)×18寸×(2a+b)×1
=(1/2)(18寸)×(4a+2b+36寸)
=(1/2)(72寸a+36寸b+648寸2)・・・・・・・(2)
中の円の中心を R とし、R から辺 AB,BC に垂線を降ろし、その足を M,N
とし、P から直線 RM に垂線を降ろし、その足を S とする。
(PS)2=(PR+RS)2
=(PR)S+2(PR・RS)+(RS)S
=(PR)S+2{(PS+SR)・RS}+(RS)S
=(PR)S+2{PS・RS+SR・RS}+(RS)S
=(PR)S−2(RS)S+(RS)S
=(9寸+16寸)S−(16寸−9寸)S
=4×9×16寸2
|PS|=2×3×4寸=24寸
s(△ABC)=(1/2)(HP*AB)
+(1/2){(NR+SP)*BC}
+(1/2)(LP*CA)
=(1/2)(HP*AB)sin(π/2)
+(1/2){(NR+SP)*BC}sin(π/2)
+(1/2)(LP*CA)sin(π/2)
=(1/2)(9寸)*(2a+18寸)×1
+(1/2){(16寸+24寸)*(18寸+b)}×1
+(1/2)(9寸)(2a+b)×1
=(1/2)(36寸a+49寸b+882寸2)・・・・・・・・(3)
(1)、(2) より、(2ab+36a寸+18b寸+324寸2)
=(72寸a+36寸b+648寸2)
2ab=36寸a+18寸b+324寸2・・・・・・(4)
(2)、(3) より、(72寸a+36寸b+648寸2)
=(36寸a+49寸b+882寸2)
0=−36寸a+13寸b+234寸2
b=(36寸a−234寸2)/13寸 ・・・・・・(5)
(5) を (4) に代入
2a×(36寸a−234寸2)/13寸
=36寸a+18寸×(36寸a−234寸2)/13寸+324寸2
2a×(36寸a−234寸2)
=36寸a×13寸+18寸×36寸a−18寸×234寸2
+324寸2×13寸
a×(36a−234寸)
=18寸a×13+9寸×36a−9寸×234寸+162寸2×13
0=−36a2+792寸a
=a−22寸 ∵ a≠0
a=22寸
上の式より、|AB|=|AH|+|AH|+|AH|=22寸+22寸+18寸=62寸
(答) 62寸
これは2つの問題を組み合わせた問題で、これを別々に書いて眺めれば、計算は
ちょっと大変ですが、そう大した問題ではありません。算額を作って、神社に奉納
する程の大問題ではありません。算額にはこんな問題が可也あります。
江戸の昔の数学にケチを付けておっても、しようがありませんねぇ!!!
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