<例題>△ABC の中に図のように3本の線を引くと、△PQR∽△ABC で、AB:PQ=
BC:PQ=CA:QR=1:k となる。|AB|=3寸、|BC|=6寸、|CA|=4寸
で、|AP|+|BQ|+|CR|=5寸 のとき、|CR| は何寸か。
<解答>|AP|=x、|BQ|=y、|CR|=z とおくと、
|AP|+|BQ|+|CR|=5寸 から、
x+y+z=5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
∠A=α、∠B=β、∠C=γ、∠CAP=δ とおくと、
∠ABQ=π−(α−δ)ー(πーα)=δ
∠BCR=π−(β−δ)ー(πーβ)=δ
条件から、 BP=BA+AP
BP*BP=BA*BP+AP*BP
0=3×|BP|sinδ+(x/4k)(PR*BP)
=3×|BP|sinδ−(x/4k)(PR*PB)
=3×|BP|sinδ−(x/4k)(4k)|PB|sinα
=3×sinδ−xsinα
x=3sinδ/sinα
同様にして、 y=6sinδ/sinβ
z=4sinδ/sinγ
上の式と(1)より、
3sinδ/sinα+6sinδ/sinβ+4sinδ/sinγ=x+y+z
3sinδ/sinα+6sinδ/sinβ+4sinδ/sinγ=5寸・・・・・・・・・(2)
△ABCの面積を s とすると、 AC*AB=BA*BC=CB*CA=2s
4×3×sinα=3×6×sinβ=6×4×sinγ=2s
6×sinα=9×sinβ=12×sinγ=s
1/sinα=6/s、1/sinα=9/s、1/sinα=12/s
上の式を(2))に代入、
3sinδ×6/s+6sinδ×6/s+4sinδ×6/s=5
3sinδ×6+6sinδ×9+4sinδ×12=5s
18sinδ/s+54sinδ/s+48sinδ12/s=5s
120sinδ=5s
sinδ=s/24
上の式より、z=4sinδ/sinγ=4×(s/24)×(12/s)=2
|CR|=2寸・・・・・・(答)
これは内積を使うと、殆どの人は迷宮入りとなるでしょう。
これは外積を使うべき問題です。
ここでは正弦定理を使って、式の動き(表現)にギコチナイところがありますが、解
答の中身は全く同じです。実は、この解答を眺めて、複ベクトルの解答に書きか変え
ただけです。数学としての中身は同じであっても、表現手段が違えば、答案が大変に
スム―ス、簡単になり、こんなのを「上級問題」に分類するのはおかしく見えてきま
す。和算にはこんな問題が沢山あります。和算にある解答は、比例を使っているよう
で、これなら「上級問題」を超えて、私には「不可能問題」となります。江戸の和算
学者は、神に近いカミソリ頭脳を持っていたようで、これなら算額を作って奉納する
に値します。
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