<例題>図のように直角三角形内に全円を容れ、それに接するように大円を描き、小円を容れる。
直角を挟む長い方の辺の長さを8寸で、全円の半径を2寸とするとき、小円の半径を求
めよ。
<解答>問題の図形の三角形と全円を取り出し、点を図のように表す。K は全円の中心。
条件より、|KD|=|KE|=2 から、|BD|=|BE|=2
|BC|=8
上の式より、|CE|=8−2=6=|CF|
∠B=90度より、3平方の定理から、|AC|2=|AB|2+|BC|2
|AD|=|AF|=x とおくと、
(x+6)2=(x+2)2+(8)2
x2+12x+36=x2+4x+4+64
8x=32
x=4
上の式より、 |AB|=2+4=6
上の図形を直交座標上に置く。但し、直線 BC がx軸、直線 BA がy軸、となるよ
うに置き、大円を追加する。大円の中心を R(α、3)、半径を r とする。
|RB|=r から、|RB|2=r2
α2+(3)2=r2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
|RK|=r−2 から、|RK|2=(r−2)2
(α−2)2+(3−2)2=(r−2)2・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
この式は座標が無いと、浮かびにくい。
(1)−(2) 4α−4+8=4r−4
4α+8=4r
α+2=r
上の式を(1)に代入、
α2+(3)2=(α+2)2
5=4α
α=5/4
r=5/4+8/4=13/4
上の図形に小円を追加、小円の中心を S(β、s)、半径を s とする。
|RS|=r+s から、|RS|2=(r+s)2
(βー5/4)2+(3−s)2=(13/4+s)2・・・・・・・・・・・・(3)
この式も座標が無いと浮かびにくいが、補助線を引いて、
不可能ではありません。
条件から、△CSG∽△CKE
|SG|:|KE|=|CG|:|CE|
s:2=8−β:6
s=(8−β)/3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
(3)、(4)から、
β2ー5β/2+25/16+9ー6s+s2=169/16+13s/2+s2
β2ー5β/2+169/16ー6s+s2=169/16+13s/2+s2
β2ー5β/2ー6s=13s/2
β2ー5β/2=(25/2)s
β2ー5β/2=(25/2)(8−β)/3
6β2ー15β=25(8−β)
6β2+10β−200=0
3β2+5β−100=0
(β−5)(3β+20)=0
β=5
上の式を(4)に代入、s=(8−5)/3=1
∴ 小円の半径は 1 ・・・・・・・・・・・・・・・(答)
江戸の和算家はこんな問題を作って、民衆を悩ませ・・・、そして、優越感に
浸っていたのかねぇ・・・、こんなのは大変にけしからん・・・?
この問題は、ユークリットの力不足で (α−2)2+(5/2−2)2=(r−2)2
は大変に導き難い。嫌らしい和算家が、わざわざ・・・、それを狙った作った問
題かも知れません。「導けない者の頭が悪い」こんなのは言語道断です。
数学は、誰もがそれ程抵抗なく、自然に、流れるように解ける。こうなるよう
に作って置かねばなりません。そうして置かないと、落ちこぼれがいっぱい出ま
す。それには、図形の下に座標を置けば解決します。複ベクトルを使っても解決
しますが、きっと皆さんが見たことがない式になるでしょう。それでも出来ない
ことはありません。
解析幾何学は計算のジャングルに陥りやすく、図形問題を解くための良い道具
ではありません。まぁ・・・、これは一般論であて、実際は、問題によりけりで
す。座表が有効な問題も沢山あります。
参 考
|RK|=r−2 から、|RK|2=(r−2)2
(r−2)2=(RK)S=(RH+HB+BE+EK)S
=(RH)S+(HB)S+(BE)S+(EK)S
+2(RH・HB)+2(RH・BE)+2(RH・EK)
+2(HB・BE)+2(HB・EK)+2(BR・EK)
=(RH)S+(HB)S+(BE)S+(EK)S
+2(RH・BE)+2(HB・EK)
=・・・・
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