<例題>四角形ABCD が円に内接するとき、次式が成立することを示せ。
|AC||BD|=|AB||CD|+|AD||CB|
(トレミーの定理)
<解答> AC×BD=(AB+BC)×BD
=AB×BD+BC×BD
=AB×(BC+CD)+BC×(BA+AD)
=AB×BC+AB×CD+BC×BA+BC×AD
=AB×BC+AB×CD−BC×AB+BC×AD
=AB×CD+BC×AD・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
条件より、四角形ABCD が円に内接するから、
π=∠ABC+∠ADC
=arg(BA÷BC)+arg(DC÷DA)
=arg{(BA÷BC)×(DC÷DA)}
=arg{(BA×DC)÷(BC×DA)}
=arg{(−AB×DC)÷(BC×DA)}
0=arg{(AB×DC)÷(BC×DA)}
=arg{(AB×DC)}−arg{BC×DA)}
arg(AB×CD)=arg((BC×AD)
上の式より、AB×CD と BC×AD が平行で、同方向であるから、(1) より、
|AC×BD|=|AB×CD+BC×AD|
=|AB×CD|+|BC×AD|
=|AB|×|CD|+|BC|×|AD|
=|AB|×|CD|+|AD|×|CB|
∴ |AC||BD|=|AB||CD|+|AD||CB|
ベクトルを使わない証明(高学生向け)は下記ページにあります。
この問題にはどんな解答を持ってきても、掛算を使う解答には叶わんでしょう。
そもそも「トレミーの定理」と名前を付けるに値しない。
こりゃ・・・、トレミーが化けて出てくるかかもねぇ・・・?
オー、怖い、怖い・・・!
<例題>四角形ABCD に |AB||CD|+|AD||CB|=|AC||BD| が成立するとき、こ
の四角形は円に内接することを示せ。 (トレミーの定理の逆)
<解答> ∠ABC+∠ADC
=arg(BA÷BC)+arg(DC÷DA)
=arg{(BA÷BC)×(DC÷DA)}
=arg{(AB÷BC)×(CD÷DA)}
=arg{(AB×CD)÷(BC×DA)}
=arg{(AB×CD)÷(AD×CB)} ・・・・・・・・・・・・・(1)
条件から、 |AB||CD|+|AD||CB|=|AC||BD|
(|AB||CD|)2+2(|AB||CD||AD||CB|)+(|AD||CB|)2
=|AC||BD|2・・・・・(2)
AB×CD−AD×CB=(AC+CB)×CD−(AC+CD)×CB
=AC×CD+CB×CD−AC×CB−CD×CB
=AC×CD−AC×CB
=AC×(CD−CB)
=AC×(BC+CD)
=AC×BD
|AB×CD−AD×CB|=|AC×BD|
|AB×CD−AD×BC|2=|AC×BD|2
|AB×CD|2−2{(AB×CD)・(AD×BC)}+|AD×BC|2
=|AC×BD|2・・・・・・(3)
(2)、(3) より、 2(|AB||CD||AD||BC|)
=−2{(AB×CD)・(AD×BC)}
(|AB×CD||AD×BC|)
=−|AB×CD||(AD×BC|cos(θ)
(|AB×CD||AD×BC|)cos(0)
=|AB×CD||(AD×BC|cos(θ−π)
0=θ−π
θ=π・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
(1)、(4) から、∠ABC+∠ADC=π
∴ 四角形 ABCD は円に内接する。
訪問者からの質問
{|AB||CD|}2={|AB×CD|}2 となる理由が分かりません。
AB×CD において AB とCD のなす角はどうなのですか。
お 答 え
内積と勘違いしておられませんか? それならば
{|AB||CD|}2={|AB・CD|}2
は成立しません。 内積ではなくて、複ベクトルの掛算であることにご注意ください。
この時角度は関係なく成立します。
証明しましょう。
AB=a(cosα,sinα)、CD=c(cosγ,sinγ) とすると、
AB×CD=ac{cos(α+γ),sin(α+γ)}
上の式より、|AB||CD|=a×c=ac, |AB×CD|=ac
|AB||CD|=|AB×CD|
{|AB||CD|}2=|AB×CD|2
本格的な証明は,定理−10 にありますが、ここには内積と外積、内商と外商が使っ
てあり、皆さんがご覧になられたことがない数学があります。 理解出来なくても気に
なさる必要がありません。
<例題>正七角形 ABCDEFG 対角線の長さが |AB|=a,|AC|=b,|AE|=c のと
き,次式が成立することを示せ。 1/b+1/c=1/a
<解答>s=1/b+1/c−1/a とおく。
条件から、sabc=ac+ab−bc
=|AB||AE|+|AB||AC|−|AC||AE|
=|CD||AE|+|DE||AC|−|AC||AE|
=|CD×AE|+|DE×AC|−|AC×AE|・・・・・・・(1)
条件から、π=∠EAC+∠CDE
=arg(AE/AC)+arg(DC/DE)
=arg{(AE×DC)/(AC×DE)}
=arg{(−CD×AE)/(DE×AC)}
=π+arg{(CD×AE)÷(DE×AC)}
0=arg{(CD×AE)÷(DE×AC)}
上の式より、(CD×AE)//(CD×AE)、同方向であるから、(1)より、
sabc+|AC×AE|
=|CD×AE+DE×AC|
=|(CA+AD)×AE+(DA+AE)×AC|
=|CA×AE+AD×AE+DA×AC+AE×AC|
=|AD×AE+DA×AC|
=|AD×(AE−AC)|
=|AD×(CA+AE)|
=|AD×CE|
=|AD||CE|
=|AE||AC|
sabc=0
s=0
∴ 1/b+1/c=1/a
「ベクトル無しで証明しなさい」こんな要求をされると、当ホームページの製作者
にはとても出来ません。ユークリット幾何学や解析幾何の流れの中にある数学者はど
んな頭脳をしていたのかを想像が出来ませんねぇ・・・。イヤ、イヤ、今でも解ける
人はいないことはありませんよ・・・。その解答はここにあります。
「上から下へ水がよどむことなく流れるように・・・」
まぁ、言うは易し・・・、
下々の者は、お偉い先生の要求にはとても応じられません・・・!!!
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